水彩画を描いていると、「なんだか思っていた発色にならないな」と感じることってありませんか?
私がそれを最初に感じたのは、マルマンのDrawing
Blockというスケッチブックに透明水彩で着彩していたときのことです。
私の使っている絵の具は、マッチ水彩という発色の良さで評判のメーカーのものです。なのに、描き上がった絵を見ると、確かに発色はいいのですが、どうも色が白っぽくて透明水彩というよりも不透明水彩のような印象になってしまいます。また、水を多めに含ませて淡く塗った箇所は、乾くとムラになり、表面にはツブツブとしたザラつきのような汚れが出てしまうのです。
原因は絵の具なのか、それとも紙なのか?
絵の具を変えるのは高くつくので、まずは紙の方を見直してみることにしました。
今使っているスケッチブックは、画材屋さんで水彩画用のスケッチブックが欲しいと伝えたところ勧められたもので、ずっと疑いもせずに使っていました。しかし、よくよく考えてみると遥か昔に学校で水彩用に配られた紙はもうちょっと描きやすかった気がするし、紙が向いてない可能性が高い気がします。
今回調べてみたことで、透明水彩に適した水彩紙というものがあると初めて知りました。しかも結構高いから、趣味でちょっと数枚使うぶんには手が出しづらい感じ。プロが使うような定番の高品質な紙じゃなくても良いし、かと言って100均で売ってるような紙もちょっとなーと。水彩紙を使ったことがないので、何を基準に良いか悪いかを判断すればいいのか分からい、というのもあります。
暫く考えた結果、まずは同じメーカーが出している水彩紙を使ってみることにしました。マルマンの水彩紙を調べてみると、目の粗さ違いで3種類の紙があるようです。で、これら3種類がお試しできるアソートセットが売られていました。 値段も手頃で数枚入っているだけなので、今の状況にピッタリ。さっそく取り寄せて試してみました。
ヴィフアール アソートパックで比較してみる
今回使用したのは、マルマンから出ている「ヴィフアール水彩紙
アソートパック(A4サイズ)」です。
荒目3枚、中目3枚、細目4枚の10枚入りで、それぞれの紙の違いを試せます。モチーフには、庭で育てているニオイスミレを描いてみました。同じモチーフを同じ紙に2回描いて、書き心地を確認しています。
使用した画材は以下の通りです:
絵の具:マッチ水彩絵の具
筆:ホルベイン PARA RESABLEシリーズ
以下、各紙を使ってみた感想をまとめました。
荒目
乾き: 乾くまで程良く余裕がある。
発色: 前のスケッチブックと比べて、明らかに透明感のある色が出るようになりました。不透明っぽく白っぽくなることがなく、これだけで「紙が違うだけでここまで違うのか」と驚くほど。
技法のやりやすさ: 乾くまでに少し余裕があるので、ぼかしやグラデーションがしやすいです。
加筆性: 重ね塗りや加筆もしやすく感じました。
その他: 鉛筆(2B)がわずかに水で溶け出す印象がありました。
中目
乾き: 他の紙よりも少し早く乾く気がします。
発色: どういうわけか、少し白っぽく見えることがあり、不透明水彩風になってしまうことも。はじめに使っていたスケッチブックと少し似ている。
技法のやりやすさ:問題なくできるが、乾きが早いので難しく感じた
個人的な好み: 今回使った中では発色があまり好みではありませんでした。
細目
乾き: やや乾きにくいかも。
発色: とても良い。色がそのまま素直に出る感じ。
技法のやりやすさ: 紙を立てて描くと絵の具が垂れていきやすい。乾いた跡がムラになって目立ちやすい印象。
加筆性:やりづらい。中途半端に乾いた状態だと、いじるほど汚くなる感じがする
その他: 均一にペタッと塗れる印象
ここまでのまとめメモ
全部の紙を並べてみました!
水彩紙を変えるだけで、ここまで描き味や発色が変わるんですね。これまでは、思ったように着色できずにストレスを感じながら描いていましたが、そういうのがなくなって描いているのが純粋に楽しかったです。
特に「荒目」は、ぼかしや透明感がうまく出て、水彩画らしさを一番感じられる紙でした。今度買うなら、荒目の紙一択です。ここを起点にして、他のメーカーの荒目の紙とも描き味を比較してみるのも面白いかもしれませんね。
もっと絵の具が上手く扱えるようになったら、今回試してイマイチだった紙でも、描きたい絵の合わせた良さを引き出せるかもしれないとも感じました。そのときはまた、この記録を読み返して比較してみたいです。